極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「おはよう」と俺がポーカーフェイスで挨拶したら、彼女は少し緊張した面持ちで返す。
「おはようございます」
そのままスタスタと海外企画部に向かうが、梨乃は俺より三歩ほど遅れてついてくる。
この調子だと交際をオープンにするには時間がかかりそうだ。
オフィスに着くと、もうすでに滝川がいた。
「おはよう。なんだろう。今日は北條がいつにも増してハンサムに見える。なにかいいことでもあったか?」
相変わらず、勘が鋭い。
たとえ親友でも、梨乃と寝たことは言えない。
「別に」
澄まし顔でそう答えたら、梨乃がやって来て滝川に挨拶する。
「滝川さん、おはようございます」
「おはよう。てっきり休むかと思ったけど、元気そうでよかったよ。誰のお陰かなあ」
滝川は梨乃にニコッと微笑むと、何か言いたげに横目で俺を見た。
「滝川」
「滝川さん!」
俺と梨乃が注意したら、こいつは楽しげに目を光らせた。
「突っ込むタイミングが一緒。息も合ってるね」
「もう、知りません!」
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