極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「お前の視力がおかしいんじゃないのか?」
「失礼ね。まあ、藤原さんかわいいし、とってもいい子だものね。亮太くんの妹だけあって……キャッ!」
朝井がいきなり叫んで俺に抱きつく。
「どうした?まさか、俺に告白でも?」
クスッと笑って尋ねると、彼女は眉間にシワを寄せながら答えた。
「ちょっと……からかわないで。クモが天井からぶら下げってたの!私、クモ苦手なのよ。もういない?わ、私の頭とかについてないわよね?」
少しパニックになっている彼女の頭や服を確認する。
いつも冷静沈着な彼女がこんなにあたふたしているのを見るのは初めてだ。
「大丈夫。どこかにいったみたいだ」
俺の返答を聞いて朝井はホッとした顔で「ごめん。取り乱しちゃって」と言ってすぐに俺から離れるが、その時ガチャッとドアが開閉する音が聞こえた。
だが、誰も入って来ない。
「今、ドア開いたわよね?」
朝井も不思議に思って俺に確認する。
「ああ。滝川ならすぐに入ってくるはずだが、誰だったんだろうな」
< 202 / 243 >

この作品をシェア

pagetop