極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
とりあえず新しいアパートを探しながら今のところに住み続けよう。
優のところにある荷物は彼がいない時にでも整理して……。
そう考えて涙が込み上げてくる。
「悲しくなんか……ない。元の生活に戻るだけ」
ボソッと呟くと、上を向いて涙を堪えた。
電車を降りてアパートに帰る。
見慣れた風景。
懐かしいと感じるのはそれだけ時間が経ってしまったからだろうか。
アパートに着いて郵便受けを見ると、郵便物や広告で溢れていた。
全部取り出して、鍵を開けて中に入る。
しばらく不在にしていたせいか部屋はカビ臭かった。
窓を開けて換気し、ベッドに腰を下ろしたら、スマホが鳴る。
画面を見ると優からの着信。
私からの返信がないから電話をかけてきたのだろうが、出る気にはなれなかった。
電話が鳴り止むと、スマホの電源をオフにする。
何も考えたくなかった。
身体もぐったり。
ベッドにゴロンと横になり目を閉じた。
これでよかったんだ。
< 210 / 243 >

この作品をシェア

pagetop