極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
傷は浅い。
今なら優のことを忘れられる。
愛を求めてはいけない。
自分の思いは凍らせてしまえばいい。
何度も言い聞かせる。
その時、ガチャッと玄関のドアが開く音がして身体がビクッとなった。
そう言えば、優のことを考えていて鍵を閉めた記憶がない。
誰?
入ってきたのは、二十代くらいの黒い帽子を被ったタレ目で細っそりした男。
ひょっとして逃げた空き巣?
私を見て一瞬動きが止まった。
私がいると思っていなかったのだろうか。
「ど……ど……」
気が動転していて「泥棒」と言おうとしても声にならい。
どうしたらいい?
逃げようとするがここは二階だ。
窓から飛び降りるのを躊躇していたら、空き巣に捕まった。
「静かに。声を出したら命はない」
ナイフを喉元に突きつけられ、震えながらコクッと頷いた。
すると、男はポケットからテープを取り出し、それで私の手を縛った。
最近、よくこんな目に遭っているが、この状況には慣れない。
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