極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「前にここに入った空き巣かもしれないな」
優はそんなことを口にしながら床に落ちたナイフを拾いあげて、私に預ける。
「ちょっと持ってて。あと、警察に連絡頼めるか?」
私がコクッと頷くと、彼はネクタイを外して空き巣の両腕を縛り上げる。
私もスマホを手に取って警察に通報した。
五分くらいで警察がやってきて、前回同様優が対応する。
精神的にもう限界だった。
今日は優が朝井さんと抱き合っているところを目撃するし、空き巣に襲われそうになるし、こうやって自分の部屋に警察がやってきて騒ぎになることにも疲れて……。
警察がいなくなると優とふたりだけになり気づまりを覚えた。
彼が口を開く前に何か言わなきゃ。
「あの……いろいろとありがとうございました。もう大丈夫ですし、今日からまたここで暮らしますから」
彼の顔を見ずに告げて、距離を取る。
声が震えそうになるのを必死で我慢した。
察して欲しい。
私が身を引くって意味だと。
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