極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「いや……でもタクシーだと高くつくんですけど」
遠回しに断ろうとしたが、やはりふたりが相手だと自分の意思を押し通すのは難しかった。
「つべこべ言わずに乗って帰れ。タクシーチケット渡してあるからお金の心配はしなくていい」
部長の口調は素っ気ないのだが、優しく肩を叩かれてタクシーに乗せられる。
「食事をご馳走になった上に、タクシーにまで乗せて頂いてすみません」
軽く頭を下げると、ふたりは小さく手を振った。
「気をつけて帰れよ、藤原」
「藤原さん、お疲れ〜」
タクシーが発進して後ろを振り返ると、ふたりはまだ私のタクシーを見送っていた。
こんなところ北條さんと滝川さんのファンに見られたら睨まれそう。
でも、家は西国分寺だからタクシーで帰らせてもらって正直助かった。
家に着くのは深夜の一時過ぎかな。
バッグからスマホを取り出すと、兄からLINEが来ていた。
【報告したいことがあるから、明日の夜会えない?】
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