極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
兄は忙しい人で、いつも直前に連絡してくる。
「報告って何だろう?結婚とかじゃないよね?」
兄は顔も整っていて北條さんや滝川さんのようにモテるのだが、恋愛よりも遺跡に夢中で彼女がいたことがない。
【いいよ】とLINEを返すとすぐに返事が来た。
【明日また連絡する】
お兄ちゃんからすぐに返事が来るなんて珍しい。いつも数時間放置されるんだけど。
クスッと笑ってスマホをバッグにしまうと、車のシートに身を預けてアパートに着くまで眠った。
「お客さん、ここでいいですか?」
運転手さんに声をかけられてパッと目を開けると、すぐ近くに自分の住んでるアパートがあった。
「はい、ここでいいです。ありがとうございます」
タクシーを降り、アパートの階段を登る。二階の一番右端が私の部屋。築二十五の木造アパートで外観はボロボロ。その代わり家賃が安く、一Kで収納がいっぱいあるし、大学生の時から住んでいるからそれなりに気に入ってる。
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