極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
残業がダメなら定時後に仕事を振らないでほしいな。
「もう、断ればいいのに。栗田さん、コネ入社だからって調子に乗りすぎなのよ。全然仕事しないじゃないの。いつも爪磨いてるって誰かが言ってたわよ」
彼女の批判を否定せず、ハハッと苦笑いする。
そう。栗田香さんは専務の親戚のお嬢さんで、今年うちの部に入った新人。
髪はパーマがかったセミロングで顔は可愛いく、男性社員には愛想がいいが、女性社員にはぶっきら棒。
専務の派閥に属している課長は栗田さんに「仕事しろ」と強く言えないから、彼女の仕事が他の社員に回ってくる。
「結局うちの部でやらなきゃいけない仕事だから。今日行けなくなってごめん!」
咲に向かって手を合わせると、彼女は恨みがましく私を見て盛大な溜め息をついた。
「梨乃のいいカッコしい。わかった。誰か他の子捕まえて食べに行ってくる。あんま遅くならないようにね」
「うん。本当にごめん。この埋め合わせは必ずする」
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