極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「私なんか……生まれて来なければよかった」
嗚咽を漏らしながらそんな言葉を口にしたら、突然部屋のドアが開いて、北條さんが入ってきた。
「梨乃?」
彼に名前を呼ばれたが、自分の激情を抑えることが出来なかった。
「……生まれなければよかったのに!」」
拳を握ってベッドを叩く私の頭を北條さんがベッドに腰掛けながら優しく撫でた。
「怖かったよな。好きなだけ泣けよ」
自分が嫌いだ。
私の存在をこの世から消せたらって何度思っただろう。
彼の言葉が胸に染みて、その夜は涙が枯れるまで泣いた。
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