リナリアの棘
〈優香、ぼーっとしてどうした?〉

ーーは私の頬を優しくつねる

「...ごめん、考え事してた」

儚い月光に照らされ
優しい笑顔を向けているのは

玄人ではない

あの事件が起こってから

君と私が

交わる事はなくなった

どんなに仲が良くたって
崩れるのは一瞬だった

あれから3年が経った頃

私には彼氏ができた

でも、

心の奥底では君を忘れられない

君の笑顔、声、表情

全てが私を抱き締め離さない

「月が綺麗ですね...」

玄人を心で想いつつ

ただそっと呟く

言葉は瞬間にして消えるが

玄人は一生

忘れられない人だろう

あの日、あの時に戻れたら...

今日も玄人を想い
新しい道を行く
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