千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
今年で俺は16歳だ。
当初の計画では、この屋敷を出ていく歳だ。
だが‥5年前‥
彼女と出逢って‥全ては変わった。
俺は‥あの日から執事としての教養を学び、彼女に仕える物として恥ずかしくないレベルの教養を身に着けてきた。教師からトップレベルの進学校を薦められたがそんな事に興味はなかった。
元々、教科書を一度読めは大体覚えてしまう俺にとって勉強をしていい大学に進むなんて事は何の価値もない。
多分、望めば何にでもなれるのだろう‥。
何になれたとしても色のない人生が待っている。
だが‥もし彼女の側にいられたのなら‥。

俺の望みはただ一つ‥だ。

彼女の側にいたい。

できるなら‥彼女の成長を見守りたい。

「その前に‥今日は千歌夏に話があるんだ。」

「タロ‥くん?」

俺のいつにない真剣な顔を見て不思議そうな顔をしている彼女‥。

この日の為に全て用意し準備してきた。

俺の里親である執事頭の田渕さんにも再三頼み込んで承諾してもらうこと。
田渕さんから伝えてもらい屋敷の主である北條様にも5年掛かりで信用されるように、従順にしてきこと。

全ては‥彼女のため‥この日のため。
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