千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
俺は彼女の前に膝まづいた。

「‥‥‥‥タロ‥くん?」

「‥‥千歌夏様‥」

「‥え?千歌夏様?」

「‥波瀬太郎は、今日から千歌夏様専属の執事になります。どうぞ、私をあなたのお側に‥。
命をかけてお仕え致します。」

「‥タロくんが私の執事に?」

「はい‥」

「これからずっと?」

「はい、ずっと‥。」

「う‥うん‥タロくんがそうするって言うなら‥
かまわないけど‥。」

「ありがとうございます‥千歌夏様‥。」

「じゃあ‥美術はもうしなくていいの?」

「いいえ、千歌夏様‥それはしないといけません。」

「タロくん‥やっぱり厳しい‥」

「はい、千歌夏様にはこれからしっかり身につけていただきませんと‥大丈夫です。私がついています。
私は‥千歌夏様の専属執事ですので。」

「タロくんは‥私だけの執事‥?」

「そうですよ。」

「じゃあ、もうお兄様になってくれないの?」

彼女の肩が微かに震えている‥。

「いいえ‥
千歌夏様が望む事なら何でも致しますよ‥。」

「本当‥?本当ね‥?約束よ?」

「はい‥約束です。」

「‥うん‥タロくんは私の執事だもんね。」

彼女は、私の袖を握りしめた。

これからは私がしっかりあなたをお守りしますからね‥本当の兄にはなりませんが‥それ以上の存在になりますから‥。

「はい‥千歌夏様‥。
私はあなたの執事です。」
< 12 / 42 >

この作品をシェア

pagetop