呪イノ少女、鬼ノ少女
ずっと嫌いだった。

目の前に、この世界に、自分の記憶に存在するのも嫌な位に嫌いだ。

嫌い嫌い大嫌い。


「ほんっと嫌い」

「そう」


四音は、頬に掌を添えて眉根を寄せる。


「自分でも意外なくらい残念だわ。それに、驚いてる。茜は私の事が大好きなんだって思っていたもの」

「冗談でしょ!?二十年前私のこと殺そうとしておいて、よくそんな事が言えるわね」

「あら、それはそうだけど。でも私は茜の事が好きなのよ?」


自分でも、よく生き残れたと思う。

あの二十年前の夜。

まだ退魔師として未熟だった茜には、鬼に堕ちた四音が相手というのは荷が重すぎた。

生き残れたのは、奇跡的な幸運を味方に出来たからだ。


「それにあれは仕方なかったのよ」

「ちっ。また言い訳。あのさ、すっごくムカつくから喋んなくていいわよ四音ちゃん」

「そちらこそ、その呼び方は止めなさい。…酷く、癪に障る」


ギロリと黄金の瞳を向けた瞬間、四音が駆け出した。


「流石親子。気の短いさは九音ちゃんとそっくりよ」


爪を伸ばして襲い来る四音に、茜も応戦する。


右左と凄まじい速度の攻撃は、人間だった頃のひ弱な四音からは創造も出来ない。

肉体も、精神も、より他の生命を奪い喰らうことに特化していく。

それが鬼に堕ちるということだ。


「っと、ちょっと強くなったからって、生意気なのよ」


腕を取って、力任せに投げ飛ばす。


確かに、四音は強い。

だが、茜にも四音が封じられていた間の二十年の積み重ねがある。

一流の鬼祓として、名を轟かせる実力がある。
< 161 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop