呪イノ少女、鬼ノ少女
「視過ぎた…」


酷く喉が渇いている。

見れば、淡い浅葱色の着物がびっしょりと汗で濡れていた。


部屋も急に暑くなったように思えた。


「…」


起き上がって、彼女は右目を隠していた髪を掻き上げる。

それに合わせて、髪の先まで滴っていた汗の滴が宙を舞った。


いつも「視た」は胸が焼けるように苦しい。

欲しくて…

欲しくて…

欲しくて…

どうしようも無く欲しくて堪らなくなる。


「ねぇ、あなたに恋焦がれ過ぎて、私墜ちてしまいそうよ」


女は障子の隙間から月を見上げながら、冷たくて嗤っていた。



< 18 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop