呪イノ少女、鬼ノ少女
「結界って、破れるものなの?」

「んー、普通ならあり得ないかな。神木も霊石も、人の手じゃ決して傷をつけられるものじゃないからねー」


神木と霊石は、それ自体人が触れればその者を狂わせる呪が掛けられているという。


「それにあの山に入っても、普通の人間には、御神木までたどり着けないのよ。ま、結界の一種みたいなものなんだけどー」

「じゃあ…どうして?」

「普通じゃない物がやったって事になるのかな」


茜は親指を噛みながら、山がある方を目を細めて睨んだ。


「でも、それこそあり得ない話よねぇ。なんたって珠祭の法は、この国に現存する法の中でも、十指に入る強力な法なんだから」

「ちょっ…待って、母さん。澪さんがもう付いて来れてないよ!」


雛子に止められて、ようやく茜は我に返る。

見れば、興奮して立ち上がって語り出した茜の足下で、澪は頭を抱えていた。


「あ…ごめん。うん、まあそれくらい強い封印ってことなのよ」


座り直した茜は、胡坐をかいて話を続ける。


「にしても困ったのは、これからどうするべきかよねー」

「どうするって、封印しないんですか?」


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