呪イノ少女、鬼ノ少女
「それが出来れば苦労はないんだけどねー」


いまいち要領を得ない。

当主の九音がいるのだから、さっさと封印してしまえばいいはずだ。


「その…封印には大掛かりな準備が必要なんすよ。た、珠祭の鬼封じみたいな強大な法にもなると、それこそ数十人単位で、かなりの期間が掛かるっす」


封印と言っても、そう簡単に出来るほど便利なものでは無いという事である。


「それに、今は…」

「大和、ダメよ。それ以上は私達の口から言っていい事でも、澪ちゃんが知るべき事でもないわ」


うっかり口を滑らせ掛けた大和を、茜は寒気がするほど鋭く睨んだ。

そう、『あの時』の瞳で。


「あっ、あのもう一ついいですか?」


その瞬間、茜と雛子があからさまに顔をしかめた。


「…何?」


茜が酷く低い声で問い返す。


「あの時の…茜さん、そのまるで…」

「鬼みたいだった?」

「っ!!」


自分の言おとした事を指摘されて、澪は慌てて口を押さえた。

だが、ここで否定する事は出来なかった。

それでは、澪がまるで二人を恐れているようだったから。
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