呪イノ少女、鬼ノ少女
隙あらば部屋に引きこもろうとする雛子を茜がブロック、大和が無理矢理連れて行こうとしていたらしい。


朝から、元気なことである。


睡眠不足の澪は、その三人の元気さに眩暈を覚えそうだった。


「ん…あれ?雛ちゃんも夏休みじゃなかったんですか?」


「それが、登校日なのよねー。この子、今日は進路相談があるから、何が何でも行かせなきゃならないの」


「ああ。雛ちゃんももう受験生でしたね」


なるほど、と澪は手を打った。

これで、茜にしては珍しい堅苦しい格好にも合点がいった。


とはいえ、それでも雛子の嫌がりようが分からなかった。

普段の茜なら確かに母親として恥ずかしいだろうが、今日の姿ならばむしろ周りから羨望の眼差しを集めそうなものだ。


「雛子、引き篭もりなのよね」


「え?」


茜がサラリと言った言葉を、澪は聞き逃さなかった。


「あの雛ちゃんが?」

「ん、そうなの。普段なら私も無理には行かせないんだけどね、今日は行かせないわけにいかないから」


たしかに、進路は雛子の将来に関わることだ。

いくら自堕落で放任主義に見えても、母親として娘の将来を心配しているということか。


「せっかく、こんな堅苦しい格好したんだもの」

「そっちですか!」
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