呪イノ少女、鬼ノ少女
「で、大和にそんな事を吹き込まれた訳ねー」


太陽が一番高い所を過ぎた頃。


先に帰ってきた茜はスーツを脱ぐのを途中でやめた格好で、厳めしいレトロな扇風機の前で倒れていた。

澪は大和から聞いた話をしようと、茜の隣に座ったのだが、茜はどうにもまともに取り合ってはくれなかった。


「茜さん!まじめに聞いて下さい!」


「うぅ、引っ張らないでー」


久しぶりの堅苦しいスーツの戒めから解放された茜は、いつも以上に緩んでいるようだ。


さすがに、その情けない姿に澪も呆れ果ててしまう。


これで、よく人の母親と言えたものだ。


「心配いらないわ。放っておいても」


「無責任です!それでも母親ですか!」

「これでも母親ですー」


今の発言には、さすがに澪も頭に来た。

無言で立ち上がると、強に設定されていた扇風機のスイッチをおもむろに切った。


「あっ、なーにすんのよー!澪ちゃん!」


まるでゾンビか何かのように、茜はうつ伏せに寝た状態で扇風機のスイッチへと手を伸ばす。


がそれを阻止せんと、澪はその腕をペシリと叩き落とすと、扇風機も遠くへ押しやった。



「あーうー…堪忍してよ、澪ちゃん」

「なら座って話しを聞きなさい!!」



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