呪イノ少女、鬼ノ少女
のほほんとした表情で茜は、穏やかな日差しに照らされる中庭を眺めている。


澪は一度、わざとらしく大きな溜息をついた。


---この人は……駄目だ。



きっと何を言っても動かないのだろう……、そう諦めて、立ち上がる。


それから一度きつく、自堕落な母親を睨んだ。


だが、茜はそんな澪を少しも気にかけず、扇風機を抱いていた。



「もう茜さんには頼りません!」

「ご勝手にどうぞ~」

「もうっ!茜さん、ホントに知りませんからね!」



茜はひらひらと手を振るばかり。


そんな彼女に腹を立てた澪は、足音荒く居間を出ていってしまった。


ぴしゃりと襖が閉まったのを待って、ようやく茜はチラリと、澪がいなくなった場所に視線を向ける。


しばし複雑な面持ちをしていたかと思うと、固く口を結んだまま、鼻から長い溜息を吐く。


それから片手で扇風機を突き飛ばして、後ろに倒れ込むように横になった。


「やれやれ……怒らせちゃったかなー」


黒ずんだ天井の木目を目で追いながら、茜は語りかけるように呟く。


「ねぇ……透さん、あなたもこんな私の事を怒るのかしら?」


そういって、茜はゆっくりと瞼を閉じるのだった。



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