呪イノ少女、鬼ノ少女
「こんなのっ…」


腹立たしさが込み上げてくる。

女の子の顔に傷を付けるなんて。


「大丈夫です」


俯いていた顔を上げて、雛子は固く笑った。


「私、傷の治りは早いですから。明日には消えてます」


「そんな訳……あ」


瞬間、昨夜の事が頭をよぎった。


茜に縋り付いてまで、正体を明かすことを拒んだ雛子。


だが、言われずとも分かってしまう。


雛子も、あの鬼側の存在なのだ。


もしかしたら、その影響で傷の治りが早いのかもしれない。


しかし、だからといってこれはやり過ぎというものだ。

骨だって折れてしまっていそうな怪我だって見受けられる。


「とにかく帰って手当しなきゃ」


そう言って澪は、雛子の手を引いて歩き出そうとした。

しかし、雛子はじっとその場に踏み止まって動かない。


そしてただ憂いた目で、ゆっくりと首を振るのだった。


「手当なんていりません。痛みもないですし、血も止まってますから」


関わるな。

まるで、雛子に拒絶されたようだった。


「…っ」


澪は唇を噛んだ。

確かに、澪に出来ることはないのかもしれない。


なぜなら、澪は『外』の人間なのだから。

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