呪イノ少女、鬼ノ少女
もう一週間もしたら、澪は東京に帰ってしまうのだ。

それが分かっているから、雛子は澪を頼らないのだろう。


茜も大和も助けてくれない中、差し出されたこの手はきっと魅力的なはず。

だがこれは、すぐに消えてしまう幻のようなもの。


だから、ここでこの手に縋ってしまえば、雛子はもう一人では歩けなくなる。


澪がいなくなったその後は、今まで以上に辛くなってしまう。



「………でも、だからってここで引き下がれないよ」


雛子の事を、大和に任されてしまったのだから。


澪はそう言って、雛子の腕を無理矢理引き寄せた。



「わっ…」


バランスを崩した雛子はぽすん、と澪の胸の中に寄り掛かって、小さく声を上げた。


「な…なんですっ…わっ!」


顔を上げようとするのを、澪は両腕でしっかり抱きしめた。


雛子は澪の腕と胸に挟まれて、小さく呻く。

「や、やめて…澪さん」

「いやだ」


澪は叫ぶように言った。


「私は雛ちゃんの現状を変えて上げることはできないかもしれない。でもだからって、何もしないなんて嫌だ」
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