呪イノ少女、鬼ノ少女
昨夜雛子が泣くのが嫌で、茜の話を聞かなかった。

重要な話だという事は、ちゃんと分かっていた。

それでも、やっぱり澪にはそんな事は出来なかった。

雛子が泣いてまで聞くような話なんて、あるはずがない。

そう思ったから。

そんな澪を茜は僅かに微笑みを浮かべ、でも確かに失望の色を滲ませて、『甘い』と言った。

澪の優しさは、考え無しの無責任なだけの、ただの自己満足。

そう言ったのだ。


でも澪にだって、それくらいの事はよく分かっている。

でも、こればかりは自分の性だから仕方が無い。

どうしたって、澪には他人が傷付くのは、耐えられないのだ。


それはきっと父の影響なのだろう。

父も同じように誰にでも優しく、他人が傷付くのは耐えられない人だったから。

そんな父の背中だけをずっと追い掛けて、育ってきたのだ。

それで、似ない訳がない。


澪の性格は、言わば必然的に作り上げられたのだ。


しかし、ただ一つだけ違いを上げるとするならば、透には他人に優しく出来るだけの力があった事だろう。

彼は、澪のように非力な人間では無かったのだ。
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