冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
クリスマスディナーを十日後に控えた日の午後。
奈月は久しぶりに広川堂を訪れていた。
「こんにちは」
扉を引き声をかけながら素早く店内を見回す。
偶然にも客はなく、店番をしていた深雪が出迎えてくれた。
「奈月!」
「深雪さん、お久しぶりです」
「久しぶりって昨日も連絡取り合ったばかりじゃない」
「そうなんですけど会うのが久しぶりなので」
深雪は「それはそうね」と相槌を打ちながら奈月の腹部を見遣る。
「話には聞いていたけど、実際見ると驚きしかないわ。今何か月なの?」
「今は二十二週なんで妊娠六カ月です。急にお腹が大きくなってきた感じです」
「へえ……あ、詳しい話はランチしながら聞くわ。社長は外出中なんだけど友也さんがいるから誘っておいた」
深雪に促され、共に店の奥に向かう。ギャラリーには奈月の知らない作家の作品が展示されていた。
「新人さんですか?」
「そうなの。結構評判いいのよ。ちょっとここで待っていて」
深雪はスタッフルームに入り、ほんの数分で戻って来た。裏口から店舗を出ると友也も居て、よく利用していた和食店に向かうことになった。
予約をしてくれていたようで、待たずに個室に案内された。
掘り炬燵のように足元がゆったりできる席に、深雪と並んで座る。正面が友也だ。