冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
和倉家令嬢と聞き奈月が相手だと思い込んでいたが、まさか別人だったなんて。

(どういうことだ?)

疑問を覚えたが直ぐに思い出した。そう言えば同居している従妹がそんな名前だったと。

(俺が奈月の従妹と結婚?)

意思の力で抑えていなければ体が震えそうだった。

奈月はこの件を知っているのか?…いや知らないはずがない。

それなのに今後の相談の連絡一つしてこない。これから親族になるかもしれない状況だというのに。

過去は水に流して、平然と親族付き合いをするつもりなのか。

(そんなこと許さない)

僅からながらも奈月との再会を喜んだ自分が情けない。だがこれ以上は振り回されない。

週末、和倉家との顔合わせを行った。

奈月の従妹愛理は美しい顔立ちで華やかに着飾っていたが、和泉の心に響くものは一切なかった。

素早く周囲を確認したが、奈月が来ている様子はない。

落胆している自分に気付いて、また情けなさがこみ上げた。

必要以上におべっかを使う和倉豊に合わせ会話をし、ときどき愛理と話をする。
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