冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
『そう言えば、姪御さんと同居しているんでしたな』

和倉豊は胡散臭い笑みで大きく頷いた。

『そうなんです。兄の娘なんですが両親を事故で亡くした為、ずっと私が養っています。責任をもって嫁ぎ先も考えていますよ。幸運にも大山家と話が進んでいるところです』

和泉は思わず声が漏れそうになるのを堪えた。

(大山家だと? あの家に奈月の相手になるような男はいない)

それなりの資産家だが、未婚の男性はいないはずだ。

(いや、そう言えば次男が離婚したと聞いた気もする)

それでももう四十を過ぎている男だ。

猛烈に苛立ちが湧いて来た。

自分と別れておきながら、見合いで一回り以上年の離れた男の後妻になる。

(そんなこと認められるか)

即決断して、顔合わせが終了後すぐに和泉は行動に出た。

和倉家に結婚相手は奈月を希望すると告げたのだ。もちろん愛理が傷つかないように気を遣いもっともらしい言い訳を添えた。

和倉家はかなり抵抗したが、縁談事態を断った訳ではないのでやがて諦め奈月との縁談に了承した。父も反対はしなかった。

彼女が司波家に住まいを移す日を決め、迎える準備を進める。
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