冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～

久しぶりに力が湧いた。奈月がどんな顔をして来るのか想像しては楽しくなる。

再会して一言目には何て言おうか。

せっかく別れたのに戻るはめになり残念だったな、とでも言うべきか。

たった数日を長く感じ彼女を待ち続けた再会の日。

和倉家の車から降りて来た奈月を見た瞬間、用意していた嫌味など頭から吹きとんでいた。

（変わったな）

そう感じた。思い出の中の彼女は朗らかな笑顔で、働く姿はいきいきとして見えた。けれど今目の前にしている奈月は、憂いを帯びた表情で、風が吹けば飛んでしまうような儚さを感じる。

以前は白やパステルカラーの服を好んでいたが、今日はダークカラーの薄手のコートを羽織っていた。そのせいだろうか、たった数ヶ月会っていないだけなのに印象ががらりと変わった気がした。

少し痩せたのかもしれない。

すらりとして冷ややかな気配。何者も近づかせないような、壁のようなものを感じる

目が合うと途端に彼女は顔を強張らせた。見たくないものを視界に入れてしまったような表情。その反応は和泉を重い気持ちにさせる。

頑なになっているのを自覚しながらも、何もなかったように話しかけることは出来なかった。