冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~

「最近、和泉とはどうなってるの?」

冬の柔らかな日差しが降り注ぐリビングルームでのお茶の時間に、亜貴が思い出したように言った。

「以前よりも気を遣ってくれているのを感じてます」

「つまり大きな進展はないってわけね」

亜貴ははあと溜息を吐く。

「小姑の私が何度も口出しするのはどうかと思って黙っていたけど……」

前置きをしてから亜貴はすうと息を吸った。この仕草はクリスマスの日にも見た。

今度は何を言われるのかと身構えていると、亜貴は早口でまくし立てた。

「予定日は四月十日よね? それまでに入籍しなくてはいけないのに和泉と話し合いはしていないの? ふたりともちょっと行動が遅いわよ。結婚式だって一年後にするとしても今から準備をする必要がある。奈月さんは今大変な時期だから、私がフォローするつもりはあるけど、大まかな計画もない状態では何も出来ないわ」

「は、はい……分かってはいるんですけど」

入籍の件は奈月も気にしている。けれど和泉から何かを言って来ることはない上に、出産までまだ日があるからと伸ばし伸ばしにしてしまっていた。

(自分から言うと入籍を強要しているみたいでなんとなく嫌だったんだけど、先延ばしにしていたら駄目だよね)

「分かってるって、本当に?」
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