冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「奈月さんは食べられないものはないと言ってたよね?」
約束通りの時間に迎えに広川堂にやって来た和泉は、店から出ると確認して来た。
「はい」
「良かった。車で十分程の所にあるフレンチの店を予約しているんだ」
「車で?」
「ああ、向こうに待たせてたせてある」
彼に促され一時停車していた黒塗りの車に乗り込む。
外観も内装も高級で、車に詳しくない奈月には車種までは分からないがかなり高価なものなのだろうと伺える。
運転席には和泉と同年代の男性がいた。ダークカラーのスーツ姿だが彫の深い顔立ちのためか、華やかな印象を受ける。
彼は奈月を何か言いたげな目で見ていたけれど、実際声をかけてくることはなく和泉に声をかけた。
「予定通りでいいのか?」
「ああ、頼む」
和泉の返事を聞いた男性が車を発進させる。
今の会話を聞く限りではふたりに上下関係は存在していないようだった。
(運転手さんではなさそう。会社の仲間か友達かな?)
けれど友人が運転手のような役をするだろうか。
「奈月さん、彼がどうかした?」
不躾にならないように気をつけていたとは言え、長く見つめてしまったため、和泉に気付かれてしまったようだ。和泉に怪訝そうな顔をされる。