冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
愛理は腕を組み、忌々しそうに眉根を寄せた。

「ねえ知ってる? 和泉さんはね、私と婚約の話が進んでいるのよ!」

「え?」

奈月は目を見開いた。

(嘘、そんな話和泉は何も言ってなかった)

「何、驚いてるの? 少し考えれば分るでしょ? あの司波家の御曹司に婚約者がいないはずがないじゃない!」

「で、でも、和泉はそんな話は……」

思わず漏れた声に、愛理がかっと激高した。

「図々しく呼び捨てにしてるわけ? 信じられない、親子揃ってこんなに厚かましいなんて」

「親子?」

奈月の両親のことだろうか。でもなぜこの話の流れで出て来るのか。それに厚かましいとはどういう意味か分からない。

困惑する奈月に、愛理はぐっと威嚇するように顔を突き出して来た。

「奈月と和泉さんの結婚なんて許さない! 絶対に認めないから!」

愛理は過激に宣言すると踵を返し荒い足音を立てながら去っていく。彼女の後ろ姿から怒りがあふれ出てこの家中に充満していくような気がした。
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