冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「脅しに従う必要はなかった。だいたい奈月ちゃんの両親に本当に何かしたのだとしたら、なおさら奈月ちゃんの手に負える状況じゃないだろ? 一人で抱えてどう解決するつもりだったんだ」

「それは……」

答えられない。友也の言う通り、奈月の手には余ることなのだ。

冷静に考えればそうなのだけれど、決断のときになぜか分からなかった。

その結果が今なのだ。

(私、どうして……)

項垂れる奈月を見た深雪が、慌てた様子で本気で苛立つ友也を宥める。

「友也さんの言う通りだけど、奈月の立場では正常な思考が出来なかったんだと思う。だって子供の頃から酷い親戚に抑えつけられて育ったんだもの」

友也は溜息を吐く。

「マインドコントロールみたいなものか?……そうだな。ごめん奈月ちゃん、言い過ぎた」

「い、いえ。友也さんは心配して言ってくれたんだって分かってます」

深雪がふうと頬杖をついた。

「それにしても困ったね。結婚を避ける為に家を出たとしても職場を知られている以上迎えに来られるだろうし、当分仕事を休むにしても探偵とか雇って大捜索しそうよね」
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