サンタクロースに恋をした
「なあ……顔以外の大切な事ってなんだ?」
「は? それは、恋愛でってことか?」
「まあ……」

 この前別れた彼女に言われた。「渉くんって、大切なことが抜けてるよね」と。

 だから、考えてみた。でも、答えは出てこない。

「それは、まあ、優しいとか面白いとか? 女子って、自分が大切にされてるって思いたい人種じゃん? そういうのじゃねえの? まあ、俺男だから本当のところどうなのかは分からないけど。まあ、お前って周りにちやほやされてきただろうし、なんかこう、そういうの抜けてるよな。あ、でも、俺はそんなお前も嫌いじゃないぜ?」
「目黒って、はっきり言うよな」

 そういうところも、羨ましい。

「はっきり言わないとお前、分かんなそうじゃん?」
「まあ、確かに……」

 はっきり言わないと分からない、と言われたが、それでも心の底から理解できたとは言い難く、僕は結局顔を好きだと言ってくれる女子たちにそれからも甘え続けた。

 途中でフラれようとも、また別の人がいる。

 この顔のせいで『気持ち悪い』と言われた過去を塗りつぶすには、それが手っ取り早かった。
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