サンタクロースに恋をした
「クリスマスプレゼントです」

 サンタかよっと自分に突っ込みをいれながら、彼女の反応を待つ。

「……え?」

 予想道理の反応。どうしようか、この後は……。何も考えないで行動したせいで、その後が続かない。

 こうなったら、直接伝えた方が手っ取り早い。

「ハンカチ、使ってください」

 買ってきたばかりのそれを、彼女に手渡す。

「でも……」

 そりゃそうだ。いきなり知らない人にハンカチを渡されたらそういう反応が普通だ。

「涙で顔が濡れてると寒いでしょ?」

 自分で言っていて意味不明だと溜息が出そうになる。

 顔が濡れてると寒いって……もっと何か効いた言葉があるだろうに。

「あ、……はい」

 僕の意味不明な言葉に呆気にとられたのか、何とか受け取ってもらえた。

 彼女はもう涙を流しておらず、渡された袋を見ている。よし、これで任務完了だ。

 僕はその場をすぐに去った。
 
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