サンタクロースに恋をした
「姉さん」

 姉さんの作ってくれたビーフシチューを2人で囲んで食べながら、最近心の中にあるもやもやとしたものを吐き出したく、声を出した。

「どうしたの?」
「あのさ…………那美ちゃん、だっけ。あの子、僕の内面を見てくれてるっぽい」
「あら、よかったじゃない」

 姉さんはにこにこと笑っている。

「でもさ……この前、2人で話してたら那美ちゃんのクラスメイトが来て、その人、那美ちゃんのことを好きだって言ってて。なんか、それが頭から離れなくて……」

 あの目は、真剣そのものだった。

 真っ直ぐな目で僕を見つめてきて、目を逸らせなかった。逸らしたら負けると思った。何に負けるのかは分からないけど、そう思った。

 あの日からすごくもやもやとして、2人の関係が気になって。頭の中はそればかりだ。

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