【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
私といっちゃんは、旦那さまと奥さま、泉を見送り、夢見心地でレジデンスに帰る。

「そういや母さん、子ども好きだったよな」

リビングのソファに深く腰を沈めながら、いっちゃんはぽつりと呟いた。

「そうだね。私も小さい頃、すごくかわいがってもらったよ」

昔を思い出し、私は懐かしい気持ちになった。

「泉がいきなり母さんをばあばなんて呼ぶから、ばばあじゃないわって怒り出しやしないか、俺はハラハラしたぞ」

私は苦笑いした。奥さまは孫がかわいくて仕方がないという様子だったから、その心配はないだろう。

それに奥さまは奥さまなりにいっちゃんの幸せを願っていたのだから、私は今までのことを少しも恨みに思っていなかった。私も泉の母親だ、子を思う親の気持ちは痛いくらいにわかる。だからこれからは何も気にせず泉に接してほしかった。

「しかも父さんが、『泉くん、私のことは一度もじいじと呼んでくれないのに……』って嘆いていて、俺は不憫に思ったよ」

旦那さまの切ない呟きを聞き、私は笑いながらも少し気の毒になった。泉にとってじいじは盛宮のおじいちゃんだけど、旦那さまも同じだと、一刻も早く教えなければいけない。

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