【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
いっちゃんは今でも私を小さな妹のように思っているから、心配してくれているのだろう。

けれど私は心臓が甘く跳ねるのを抑えられなかった。

物心がついたときから、私はずっといっちゃんに恋をしているから。

「莉帆」

名前を呼ばれて視線を上げる。すると同時にいっちゃんの顔が近づいてくる気配がした。

至近距離で目が合った瞬間、いっちゃんの唇が私の唇にそっと重なる。

「っ、だめ、いっちゃん」

反射的にいっちゃんを押し返した。

いっちゃんにキスされたのは、生まれて初めてだった。

「いっちゃん、酔ってるのっ……?」

誰かと間違えてるの?

そうじゃなきゃ、いっちゃんが私にこんなことをするはずがない。

「逃げるな」

情欲を孕んだ瞳で、いっちゃんは私の抵抗を撥ねのけた。初めて目にする男の顔のいっちゃんに、私はゾクッとする。このまま身を委ねたい衝動が突き上げてきた。

けれど絶対にだめだ。私はただの、彼のお屋敷の家政婦の孫だ。妹と思ってくれるだけで十分すぎるくらいだった。叶わない恋だと知っている。

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