【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
そこからはもう自制なんて利かなかった。

いっちゃんに触ってもらうのが、愛してもらうのがうれしくて、いっちゃんがほしくてたまらなくなる。理性を投げ打ち、いっちゃんの逞しい肩にしがみついた。

このまま最後まで、私を誰かと間違えたままでいて。

私の浅ましい願いに、気づかないで。

「――っ、ん……っ」

いっちゃんの刻む律動に、初めての体はどうしようもなく痛んだ。

顔は生理的な涙でぐしゃぐしゃになり、もう見られたものじゃない。自分が相当ひどい表情をしていると自覚していた。

「……かわいい顔」

けれどいっちゃんは愛おしそうに私の目元に口づけて、優しく涙を吸い取った。右も左も繰り返してくれる。

覆い被さるいっちゃんのさらさらの髪が私の頬を撫で、私が痛みを忘れて快感に溺れるまで何度もキスをした。

秘密の夜は長く、夜明けまで続く。

夢のような時間だった。

私はいっちゃんを包み込みながら、彼の熱で甘くとろける。

その瞬間、本当にいっちゃんとひとつになれたような幸福感に酔いしれた。

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