【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
けれど朝になると、私は自分が犯した罪の重大さに青ざめた。

いっちゃんが酔っぱらい、私を誰かと間違えているのをいいことに、私は彼に抱いてもらった。我欲を抑えきれなかった自分が許せなくなる。

いっちゃんを騙し、旦那さまや奥さまを裏切って、恩を仇で返すようなことを私はしてしまったのだ。

深酒をしたせいか、いっちゃんはまだぐっすり眠っていた。

本当はいっちゃんに正直に謝らなければいけない。けれど私とこういうことになってしまったと知れば、きっともう今までのような関係ではいられなくなるだろう。いっちゃんの妹という立場を失くすのが怖かった。

だから、何もなかったことにする。

昨夜のことは、私だけの秘密にする。

自分の身勝手さに吐き気がした。

それでもいっちゃんのためにもそのほうがいいのだと、私は自分に言い聞かせた。たとえお酒のせいでも私なんかに手を出したなんて、いっちゃんの輝かしい人生の汚点にしかならない。

私はいっちゃんを起こさないようにホテルを抜け出し、平静を装って屋敷に帰った。

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