【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
もう少しだけ……もう少しだけ……、そう自分に言い訳をして、私はいっちゃんの髪を撫で続ける。

「っ……」

不意に手首をがしっと鷲掴みにされ、私は心臓が止まりそうになった。

暗がりの中で、いっちゃんが私を射貫く。

私は激しくうろたえた。

「ご、ごめんね」

私は何を謝っているのだろう。起こしてしまったこと? それとも無断で触れたこと?

いっちゃんは私をしっかりと捕まえたままだった。これでもかと鳴り響く心臓の音が伝わりそうで、逃げ出したくなる。

普段の私たちなら、このくらいのスキンシップはたいしたことじゃない。けれど今この瞬間だけは、軽く流せない何かがあった。

握られた部分といっちゃんの瞳には、あと一歩間違えば火が点きそうな熱を孕んでいる。

「……なあ莉帆、莉帆は俺を一度も男として意識したことはない?」

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