【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「そうだよ。ちなみに今日はカレーライスだし、もうお鍋いっぱいにできあがってるんだ。火を入れ直すだけで食べられるよ」

明るく畳みかけると、いっちゃんにやっと笑顔が戻る。

「なら、いただこうかな」

「うん。用意するね。ちょっとだけ泉と遊んで待っててね」

私はいっちゃんと泉をリビングに残し、キッチンに向かった。

おとな用と子ども用のカレー鍋に火を入れ、ポタージュスープを温め直しながら、オーブンのボタンを押す。ポタージュスープは舞茸で、オーブンの中にはズッキーニのオープンオムレツが入っていた。子ども用のカレーはおとな用から取り分けたものを薄め、野菜を細かく刻み、すりおろしたリンゴやバナナ、牛乳を加えている。

できあがると、ふたりをダイニングテーブルに呼んだ。

いっちゃんは私と対面し、泉は私の隣に座る。

「いただきます」

私の声かけで、泉も小さな手をぎこちなく合わせた。いっちゃんはどれもおいしいと褒めてくれ、カレーライスは二杯も食べた。本当はとてもおなかが空いていたのかもしれない。それなのに気を遣わせてしまい本当に申し訳なかった。私にもっと余裕があればいいのになと思う。これでも最近は、泉が私と同じものを食べられるようになり、楽にはなっているのだ。

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