【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
『何事にもタイミングっちゅうもんがある』――盛宮のおじいちゃんのその言葉が、不意に脳裏をよぎった。

今はそのタイミングにはまだ早すぎるのだと、私は自分を納得させる。いっちゃんの前で暗い顔はしたくなかった。

食事を終えると、私は再びいっちゃんに泉の世話を頼み、さっと洗い物を済ませる。残ったカレーは鍋ごと冷蔵庫に押し込んだ。

「ところで今週末だけど、どこか行きたいところはあるか? どこでも連れて行くぞ」

遊園地か? といっちゃんは泉の小さな頭を撫でた。

「いっちゃん、毎週おでかけしなくていいよ。お仕事忙しいし、疲れてるでしょ?」

私は慌てていっちゃんを止めた。いっちゃんは二年前の時点ですでに複数の会社で代表取締役社長として働いていたのだ。多忙じゃないわけがない。

「莉帆や泉といるほうが疲れが取れるからいいんだよ」

けれどいっちゃんは私の懸念を吹っ飛ばした。

無理をしている様子ではないけれど、私は返答に窮してしまう。

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