【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「ほんと?」

いっちゃんの顔をのぞき込もうとしたときだった。

強い視線を感じて周囲を見渡すと、そこに郷田さんがいて、私はとっさに立ち竦む。

郷田さんは娘らしき小さな女の子をふたり連れていた。険しい表情で、私と泉、いっちゃんを凝視している。

私は心中穏やかでいられなくなった。私をよく思っていない郷田さんには、男の人といるところを見られたくなかった。

けれど遭遇してしまったら、挨拶をしないわけにはいかない。重い足取りで歩み寄ろうとすると、郷田さんは勢いよく顔を背けて別の通路に行ってしまった。無視された私は、どうすればよいかわからなくなる。

「莉帆?」

私の異変に気づいたいっちゃんが、怪訝そうに私を見下ろした。

「……職場の先輩がいた気がしたんだけど、人違いだったみたい」

私はなんとか取り繕って買い物を続け、十分後には店を出る。

「ありがとういっちゃん。甘えてごめんね」

帰り道は私が泉と手をつなぎ、いっちゃんは買い物袋の持ち運びを担当した。

いっちゃんのおかげで数量限定の特売品をたくさん買えたし、重いお米も運んでもらえた。お米はネットショップで買っていたときもあったけれど、このスーパーのほうが安いから本当に助かる。

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