【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
気がつくと、私は無我夢中でスマートフォンを手に取っていた。

『莉帆? どうした?』

いっちゃんはこんな真夜中でも電話に出てくれた。

「いっちゃん、どうしよう。泉が発熱して、四十度近くあるの。今吐いて……」

『すぐ行く』

私が言い終わらないうちにいっちゃんは行動に移した。

うちに着くまで電話をつないだままにして、私の不安を和らげてくれようとする。私は聞き慣れたいっちゃんの優しい声を耳にするだけで落ち着けた。

三十分もかからないうちに、レジデンスの駐車場にいっちゃんの車が到着する。

けれどそのとき泉が痙攣を起こし、私は取り乱しそうになった。

『痙攣? 救急車を……俺のほうが早いか』

部屋に飛び込んできたいっちゃんは、一目泉を見た途端、「病院に行くぞ」と私を促す。

再び駐車場に向かいながら、てきぱきと病院に電話で連絡を入れてくれた。

着いたのはすぐそこにある、ベリーヒルズの総合病院だ。

ホテル並みのセキュリティとサービスが受けられると定評のあるこの高級病院では、夜間や休日を問わず二十四時間体制で診療が行われているらしかった。

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