【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています

冷静さを失っていた私に代わり、いっちゃんはお医者さまに泉の症状などを的確に伝えてくれる。

すぐに行った血液検査の結果、ＣＲＰの数値が異常なほど上昇していて、泉は重い感染症が疑われた。

「お聞きした症状を考慮すると、髄膜炎かもしれませんね」

お医者さまの見立てに、私は声を震わせる。

「髄膜炎……？」

「はい。元気な子どもでも、誰でもかかる可能性のある感染症です。鼻や喉から入ったウイルスや細菌が、脳と脊髄を包む髄膜の炎症を引き起こす病気で、初期症状は風邪によく似ているので診断が難しいんです。泉くんはヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを接種していますか？」

「……はい。少し前に四回目を接種しています」

記憶に新しかったので、私は思い出せた。

「ではもし髄膜炎だとしてもウイルス性だと思いますが、少し容態が悪く見えるので、念のためＩＣＵに入院して髄液検査を行います。ウイルス性の場合は予後良好で、一週間ほどで治りますので心配いりません。ですがいくつかのタイプや耐性菌が存在し、ワクチンの効果がない場合もあるので、もしも細菌性の場合は知能や運動の学習障害、難聴などの後遺症が残る恐れをご覚悟ください」