崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「改めて、問う。名前は?」
「アイリス=コスタです」
「性別は?」
「? 女です」

 なぜこんな質問をされるのかと、アイリスは戸惑いながらも答える。レオナルドが目配せすると、すぐ横に控えていた副団長のグレイルが小さく頷いて前に出た。

「いくぞ」

 グレイルの言葉に、アイリスは瞠目する。

 次の瞬間、グレイルが腰から素早く抜刀し、剣戟(けんげき)を振るう。アイリスは咄嗟に自らも抜刀し、それを受け流しながら後ろに下がった。

 ──ここで、私を処刑するってこと!?

 ずっと尊敬して、密かに慕っていた人──レオナルドのあまりに惨い仕打ちに怒りで目の前が赤くなるのを感じる。
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