崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました

「お前は会場に戻るのか?」
「もう、帰るわ。こんな場所、いても楽しくないもの」
「それには同感だ。俺も帰るとしよう」

 アイリスは目をぱちくりとさせて、遂には耐えきれずにくすくすと笑い出す。

「おかしな人」
「お前ほどではないな」
「ふっ、ふふふ……」

 ずっと憧れていた舞踏会での手痛い仕打ちに沈んだ気持ちが、なんだか軽くなったような気がした。


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