嫌わないでよ青谷くん!

「芽衣、私確かに自分を否定されたのにはムカついてるけど、そんな人を弄ぶようなことはしたくない」



 芽衣はこういう自分の意見をはっきり言ったところで邪険にはしないはずだ。むしろ彼女は日和見主義を嫌う類である。

 溌剌とした表情から、一転、残念がる芽衣の肩を撫でれば、彼女は「でも」と、重みのない言葉で呟いた。



「青谷くんって正面切って嫌いって言うほど人に興味なさそうなのにねぇ」


「基本当たり障りない対応しかせえへんよな」



 直子の脳裏にあの嫌悪に満ちた声を発する青谷の顔が浮かぶ。続いて他のクラスメイトと話す彼の顔が浮かんだ。

 確かにあれ以来親しく接してはいないが、どうにも彼が誰彼構わず嫌悪を振りかざす人とは思えなかった。
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