QUALIA ー最強総長×家出少女ー
二人は病院に運ばれた。状態も教えてもらえなかった。

事故の実感も持てず、子供の私は大人達によって家に帰された。

不安なはずなのに、あまりにも現実味がなかった。

いつものようにお風呂に入り、髪を洗った。乾かしていると、執事が来て、二人が病院で息を引き取ったことを知った。

あのとき私が二人を演奏会に誘わなかったら?

二人を急かさず、あと10分出発が遅れていたら?

……そうだ。

あの日から私は、死の旋律が聞こえるようになった。

戻れない過去の後悔を、時計の針を戻してやり直したいと思う度に、あの旋律は、苦痛を増していったんだ。
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