QUALIA ー最強総長×家出少女ー

「琴葉のために頑張って、こんな立派なステージまで用意したのに、まだそんなことを言うのか? 死の旋律……だか知らないけど」

周りの執事達と目が合った。昔から知っていようが、結局はお兄ちゃんの味方をする。

「父さんと母さんが死んで一年も経つのに、まだ聴こえるのかよ。それもピアノを弾く度にとか……お兄ちゃんを怒らせたいのか?」

「あなたが、二人の話をしないで…」

微かに“死の旋律の音”がした。すぐに意識を記憶から反らす。

金属を擦るような不協和音を、何十倍も不快にしたような音だ。決まって激しい吐き気と、めまいに襲われる。

ピアノを弾く度に、なぜ“あの音”か聴こえるのか? 私には分かっていた。

罪悪感があるからだ。二人の死に…。
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