QUALIA ー最強総長×家出少女ー
将冴さんはスマホの写真を指でなぜる。

「俺の母ちゃんの再婚相手の連れ子なんだ。再婚相手は母ちゃんに借金とこいつらを残してすぐに逃げちまったけどな。母ちゃんは体が弱いのに、こいつらと俺のために必死で働いたよ。俺はそんな糞野郎の借金と子供のために働く必要ないって思ってた。あんときの俺は、何にでも文句ばっか言うガキだったから…」

今の将冴さんからは想像がつかない。

だって今は、どんなときでも笑ってるから。

「俺はなんで母ちゃんが裏切られても笑ってられんのか不思議だった。母ちゃんは言ったよ。『いつも笑顔で笑ってみんなに優しくしてれば、めぐりめぐって自分も笑顔になれる』って。そんとき初めて、妹達が内職して母ちゃんの助けになろうとしてたのを知ったんだ。なんもせずに不満ばっか言ってたのは俺だけだった」

将冴さんの目に、涙が浮かんだ。
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