QUALIA ー最強総長×家出少女ー
蓮に告白されたとき、私は特に断る理由がなく、付き合うことにした。
関係はまだ、手をつないで歩いたことがあるくらい。
蓮のことは、良い人だとは思ってる。顔は整ってるし、毒舌なところもあるけど、それは嘘をつくのが下手なだけで、根はとっても優しいのを知ってる。
けれど、初めて手をつないだときも、蓮にはドキドキすることができなかった。
なぜか蓮を、そういう目では見れなかった。
「君の曲は誰にも書けないよ。君だけが持つ共感覚を使って、過去の記憶をそのままピアノにしているんだからね。君が現れてから、僕は誰からも天才とは呼ばれなくなった。君の才能は、僕の持つものとは次元が違うよ」
蓮はよく言っていた。私が現れたせいで、ピアノの先生である蓮のお父さんが、蓮に無関心になったと。
それを蓮は、才能の差に見限られたと言っていた。
「もう弾けないよ。一年前からずっと」
「もし神様に祈って、僕が死ねば君が弾けるようになると言うのなら、僕は喜んでそうする。けど、それが叶わないなら…」
蓮は私の腕をつかむと、私の体ごと門の壁に押しつけた。顔を近づけ、キスをせまる。
「や、やだ…っ!」